怖いのは恋じゃない
怖いのは失うことだ
今一番大切な貴方が
私の前から居なくなってしまうことだ
気付かれてもいい
気付かれなくてもいい
お願いだから
私の世界から消えないで
それを
私に教えたのはおまえだ
私にくれたのも
毒のない笑顔で取り上げたのも
おまえだ。
生まれて初めて味わった
深く痛く腐りきった
この拭えぬ絶望の色を
おまえの汚れた胸に
塗り付けてやりたい
違う道程を歩きながら
その行き先がいつか
いつか交差することを
そっと願っていた
だけどそれは
街の雑踏の中に消え
あるいは青い空に
吸い込まれたかのよう
運命など信じない
それはひとつの答え
切り拓くことを忘れ
堕落に満ちた午後に沈む
今だけが全てだろうか
積み上げられた日常は
まるで足場の悪い崖のふち
危なげに風に揺られて
ああ
もしかしたら
こんなことに
意味は無いのかもしれない
気がついたとき
僕の心はそこから遠く
遠く離れていた
描いた未来は
握り締めた砂のように
その指の隙間から零れ落ち
ほんの少しの間に消えてしまう