「iPhone」や「BlackBerry」のようなプロプライエタリなモバイル技術につい目がいってしまいがちだが、FOSSコミュニティも独自のモバイル・イノベーションを巻き起こしている。
「Android」はGoogleが開発を主導するモバイル端末向けソフトウェア・スタックで、OS、ミドルウェア、基本アプリケーションを含んでいる。4月27日に公開された最新版ソフトウェア開発キット「Android 1.5 SDK, Release 1」では、プログラマーがAndroidプラットフォーム上でJavaアプリケーションの開発を始められるよう、専用のツールやAPIが用意されている。
Androidでは現在、物理的なキーボード・デバイス以外の新たな文字入力方法のサポートに力を入れている。また、今年後半にはHVGAサイズ(320×480、または640×240ピクセル)以上のディスプレイをサポートする計画だ。日程はまだ明らかにされていないが、モバイル・コミュニティ全体が注目している。
「Maemo」は、オープンソース・コミュニティ(フィンランドのNokiaが主要スポンサーでありコントリビューターでもある)により開発されている、Linuxべースのソフトウェア・プラットフォームだ。モバイル機器の中でも特に、Nokiaの「N810 Internet Tablet」のようなタブレット型デバイスのサポートを目標としている。3月にリリースされた「Maemo 5 Alpha SDK」には新たなUIフレームワークとAPIが搭載され、開発者は、バイブレーション制御や方向変化対応が可能な位置認識アプリケーションを作成することができる(訳注:4月28日に多数のバグ・フィックスを施した「Maemo 5 Beta SDK」もリリースされている)。Maemo 5の正式版ではさらに、米国Texas Instrumentsのモバイル向けプロセッサ「OMAP3」、HSPA(High-Speed Packet Access)データ接続、HDカメラなどもサポートされる見込みだ。
Wikipediaはあんなに楽しいというのに、携帯版ページときたら……。だが嬉しいことに、「Wikipedia Mobile」の開発が目下進行中だ。Rubyフレームワークの「Merb」上で作成されている新バージョンは、iPhoneやAndroid携帯といった最新の3G端末でアクセスできるほか、各端末に合わせてカスタマイズされた専用バージョンも用意される予定。現在はアルファ版のテスト中で、今年中にリリースされる予定。
Openmokoは、スマートフォン端末をオープンソース・ベースで開発するプロジェクトだ。2008年半ばにはその出発点として「Neo FreeRunner GSM」携帯電話端末をリリースしている。モバイル・ハードウェア・プラットフォーム「FreeRunner」には、「Debian」および「FDOM」ディストリビューション、アプリケーション/UIフレームワークの「Qt」、そしてAndroidソフトウェア・スタックが含まれており、開発者は目的に合わせて携帯電話の設計を変更できる。